プロフィール

 

 新家族シャンプー「花王メリット」のCMは、長年続いているシリーズです。私は、このCMの撮影をずっとやってきましたが、撮影スタッフもほとんど変わっていません。一貫した「花王メリット」の製品特性を反映させなければならないからでしょう。私は、今回で20本近く撮りましたが、それだけに段々ハードルが高くなり、毎回CMの作風や表現手法を工夫していかなければなりません。しかも、今回の表現コンセプトは「髪の毛の質」。透きとおるような子供の細い髪の毛をいかに綺麗に表現するかでした。そこで、私が選んだフィルムが、フジから新発売された「ETERNA 500」です。粒状性が非常に良く、より自然な肌色を再現するという特性に惹かれたからです。

 

 出演は前回同様、父親・母親役が仲村トオル、鷲尾いさ子夫妻ですが、今回は子供が男の子から女の子に変わっています。この起用は、男の子と女の子を交互に使っています。前回は父親役の仲村トオルさんが子供を抱いて外苑の並木道から帰るオープンシーンから始まりますが、今回は庭のテラスで父親がわが子をスケッチする冒頭のシーンを含めて全編スタジオ撮影です。最初は、オープンで逆光の中で風になびく髪の毛を捉えようという発想でしたが、この冬の季節、オープンではとても無理でしたので急遽、方向転換。わが子を庭でスケッチする父親が「透きとおるような君の細い髪をボクは美しいと思った」と語るシーンへ変更されました。これをスタジオ撮影と思われたくないので、セッティングや照明等には時間をかけました。そして、ETERNA 500を使ってグリーンの自然な色や陽射しの柔らかい光を撮影しましたが、その色合いや雰囲気をETERNA 500が素直に捉えてくれたと思います。
 ETERNA 500で一番驚いたのはやはり従来の高感度フィルムよりも一段と向上した粒状性と深みのある黒の再現です。特に今回のCMの生命線は細い髪の毛一本一本の緻密さ深みのある黒の再現でした。その意味でETERNA 500を使ったのは成功でありその効果は十分発揮されたと思います。
 また、ETERNA 500により、シャンプーのシーンや肌色が優しく、子供の表情や子を想う親の気持ちがほのぼのと描かれ、このCMのテーマがより活かされました。

 

 シャンプー・シーンは、このCMの一番の訴求ポイントです。そのため、子役はダブルキャストで何回も撮影しました。泡立て器でたくさんの泡を作り、その泡を頭に乗せて撮影するのですが、理想的な状態を作るため泡の乗せ方、指の通し方など細かいところまでチェックしながら、メイクさんをはじめクライアントの方に尽力していただき、時間をかけて狙いました。そのため、キャメラはずっと回し放し、速度は3倍のハイスピードです。
 このシャンプー・シーンは、次に出てくる製品のトーンと合わせるため、同じ明るさにポイントをおいて撮りました。このときの白い泡の細かい粒子も、ETERNA 500の粒状性、色崩れの少ない階調バランスが十分活かされたと思います。
 また、テレシネもスムーズで、ノイズの発生もなかったですね。今回、合成シーンやデジタル加工はありませんでしたが、今後、そのような加工処理でも安定した使い方が出来るでしょう。
 食品や化粧品のCMなど、幅広い分野で素直に使えるオールラウンドのフィルムだと思います。

 

 CMは短い尺なので、ワンカットの中にいろいろな要素を凝縮して撮らなければなりません。ワンカットCMも素晴らしいが、私としてはカットの積み重ねで表現するのが好きですね。最近、やっと自信がついて、15秒か30秒で撮った映像の世界を、もう少し枠を広げてみたいという気になりました。その意味で映画にも挑戦したい!ジャンルにはこだわりませんが、アメリカよりヨーロッパスタイルのものに惹かれますね。これからも様々な映像作りを目指していきたいと思います。

 

使用機材
 キャメラ:ARRI 535B、435
 レンズ:アンジェニュー・オプチモ X12ズーム / クックS-4 32、40、50、75、100mm

 

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