CM作品 キャメラマンインタビュー
「テレシネではスタッフの皆が『ETERNA Vivid160』  の色の出方にすごく驚いていましたね。」 −井上隆夫 井上隆夫氏
TAKAO INOUE
アサヒ飲料株式会社 「三ツ矢サイダー」友情−海篇
広告主:  アサヒ飲料(株)  /  代理店:  (株)電通  /  制作会社:  (株)シー・エム・エヌ
プロデューサー: 西村恵一
冬場に夏の海辺を演出

このCMは「友情」「変わらない」がテーマで、夏の浜辺を舞台にした企画です。1月のロケでいかに「夏の日本のローカル」なイメージを出していくかが当初からの問題でした。夏のシーンだから、ブルーの空と海は当然必要です。ですが、ロケ場所は曇天で海も茶色に濁っています。そのままではきれいな夏の風景には絶対になりませんから、ライトの調整とコントラストのある低感度のフィルムを使って積極的に画作りを行いました。

海・空の透明感のあるブルーを表現するには…

井上隆夫氏ロケ場所は、海面に太陽と明るい空のうつりがとれる南側に海のある所にしました。5,000ケルビン前後の光源をあて、コンバージョンフィルターの変換はあえてしていません。イエローを定着させにくくすることでブルーのグラデーションを優先して透明感をつくりました。

人物の抜けの空を雲が覆っている場合でもフォーカスや、色温度をコントロールすることで、とてもヌケのよいブルーの空にみせることができます。ただし、フェーストーンを美しくするために人物への光源は太陽よりもあえて低く設定します。わかりにくい説明ですが、フィルムにとっては(明るい、暗い)(赤い、青い)という概念はないと思います。適性か、オーバーかアンダーの不適正か、ということですから、この不適正をコントロールすることでトーンをつくるのは楽しい作業です。現像するまで目には見えませんからね。

こうした撮影に一番適しているのが富士フイルムの低感度タイプのフィルムでした。ロケ地の都合により「F-125」(*1)を使いました。このフィルムはシャープネスに優れており、ブルーの透明感も非常に出しやすいですね。僕は6×7のスチルカメラにカラーリバーサルフィルムを入れて撮影しているのですが、その透明感に一番近いのが富士フイルムの低感度タイプで、カラーリバーサルフィルムをライトボックスの上で見るようなきれいな感じを、モニターで出したいといつも思っています。なかなか出しきれてはいませんが…。

海辺の撮影でのリスクは、ハリウッド映画経験のスタッフと共に回避

井上隆夫彦氏このCMは船の上での撮影でしたので、海辺から10メートルくらいの位置に船を固定して、20メートルの大型クレーンにカムリモートという、カメラを自在な角度に遠隔操作できる装置を付けて撮影しました。天気は全くの曇天だったので、18KWのライトを2台用意して晴れに見せるしかない状況でした。

スタッフは、映画「ランボー」の仕事もした優秀な人材を集めました。水辺の撮影はとても危険です。タレントさんの横に18KWの照明があるわけですから、何かあっては絶対にいけません。彼らはハリウッド映画で鍛えられていますから、グリップに関してはプロフェッショナルで安心していられました。

今回のように、冬場に夏シーンのロケをする場合は、クリアできれいなイメージを出すためにフィルムとテレシネの技術を駆使することになりますが、そういった意味でも富士フイルムの低感度フィルムは欠かせないですね。

使用機材 キャメラ ARRI 535B
レンズ クックS-4、オプティモ ズーム
*1   F-125は販売終了致しました。後継品種としてETERNA Vivid160をお薦めしております。
サントリー株式会社 「カロリ。」 ベジミックス スタンド篇
広告主:  サントリー(株)  /  代理店:  (株)博報堂  /  制作会社:  (株)ホリプロ
プロデューサー: 高木秀一、前川謙一
ディレクター: 吉江善太
映像を見る人の記憶に印象づけるETERNA Vivid160

井上隆夫氏商品は新発売のフルーツと野菜のチューハイ「カロリ。」です。背景のグリーンの木々なかにいろいろな野菜やフルーツが踊るように動いていきます。背景のグリーンをきれいに見せると共に、野菜とフルーツの新鮮さを表わすために、赤・緑・黄色それぞれの色をクリアに出し、当然、人物もきれいに撮らなくてはならないので、フィルムは「ETERNA Vivid160(8543)」を使いました。

野菜とフルーツは、実はコマ撮りで撮影しています。CGではなくてリアリティのあるコマ撮りで行うという企画でしたので、見る人の記憶に印象づけられるように、力強く色を出すことにしましたが、結構たいへんでした。
例えば、マンゴーとグレープフルーツでは同じ黄色でも、色相の方向性が随分違います。トマトとりんごの赤もそうです。また、空の階調、色味をしっかり再現するなか、背景のグリーンのハイライトも表現していかなければなりません。このようなケースでは「ETERNA Vivid160」がぴったりでした。ハイライトからシャドーまでの発色がクリアで、にごりがなく、想像以上にうまくいきました。当初はHDで撮影する案もあったのですが、グリーンのハイライト側などは、どう頑張ってもナチュラルな気持ち良い表現はできないと思い、取りやめました。

見る人の記憶に残すという意味で、時にはその画面の色再現・発色を強調していくことがあってもいいと思います。テレシネではスタッフの皆が「ETERNA Vivid160」の色の出方にすごく驚いていましたね。ディレクターは、初めから黄色など各々の色のベクトルがきちんと出ているかをすごく気にされていましたから、まさに「ETERNA Vivid160」で大成功という感じです。白のハイライトなどの階調表現や微妙な色味の差もしっかり表現でき、僕らシネマトグラファーにとって、個性ある、使いこなしがいのあるフィルムですね。

「何故フイルムを使うのか」の説得材料になる、フィルムの守備範囲の広さ

現状のデジタル撮影では、ハイライト側がなかなか描ききれないと思います。画面の空気感はいいのですが、透明感の表現はやや厳しいですね。RAWで撮影してもなかなかうまくいきません。世の中はデジタル方向であっても、ロケ時間等の制約のある撮影でのフィルムの守備範囲が広いことと、空の描くときのフィルムの透明感の素晴らしさは、「今回何故フィルムを使うか」ということの説得材料になると思います。

僕はほとんど低感度のフィルムで撮影しています。絞りも2から2.8で撮るのが普通で、大がかりなセットの必要な撮影は別ですが、スタジオでも低感度フィルムで撮ります。加えて、日本独特のきれいな透明感を出したり、小さな可愛らしい世界を気持ちよく伝えるような映像には、高感度よりも低感度タイプのフィルムが向いていますね。

使用機材 キャメラ ARRI 535B
レンズ クックS-4、クレアモン シフト
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プロフィール

井上 隆夫 (いのうえ たかお)

1970年生まれ 福岡県出身
1993 西南学院大学商学部商学部卒
在学中より電通プロックス九州支社(現電通テック)にてカメラアシスタントを開始。
1996 コダイグループ 中堀正夫氏の九州ロケのアシスタント経験をきっかけに上京、同グループの猪瀬雅久氏に師事。その後、JSCの大木スミオ氏に師事。
同時期に荒木経惟氏、平間至氏、川内倫子氏のオペレーター、また海外のDPのオペレーターとして活動。株式会社イデーなどで、インテリアのスチール、講談社文芸部のスチール撮影。
2002 カメラマンとして活動を開始。
2004 世田谷ものづくり学校内にスタジオスクール(www.studio-school.com)設立、代表になる。
2008 現在にいたる。
関連情報

硬調かつ優れたシャープネスで、Vivid=生き生きとした鮮やかで透明感のある映像を実現。

ETERNA Vivid 160
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