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IoT、AI、自動運転…注目の新技術の裏で企業が直面する新たな課題とは?

「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードが注目され、各企業がさまざまな取り組みを進めるなか、密かに忍び寄ってくるのが、「データの保管」の問題です。あらゆるところから生成される膨大なデータを収集・集積し、分析処理を行ってビジネスに活用するには、データ保管についても従来と同じ考え方では到底対処できないでしょう。これからの時代に最適なストレージについて考えてみます。

デジタルトランスフォーメーションを推進するIoT

ここ数年、デジタルトランスフォーメーションというキーワードが注目されています。ビジネスを取り巻く環境が非常に早いスピードで変化する現在、ライバルとの厳しい競争を勝ち抜くには、最先端のITを駆使して新たなビジネス価値を創造していくことが欠かせません。デジタルトランスフォーメーションは、このような「最先端ITの活用によるビジネス変革」を端的に表す言葉であり、どの企業もその取り組みが急務となっています。

デジタルトランスフォーメーションが注目されるようになった背景には、近年目覚ましい発展を遂げているさまざまなITの要素技術があります。なかでも特に重要な技術の1つに挙げられるのが、インターネットを通じて機器同士が情報をやりとりする「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)」でしょう。

IoTでは、機械が自動的にデータを収集し、システムとつながります。これまで人が介在していた情報交換、制御などの作業を自動化し、より高い価値を生み出すことができるようにする技術として、製造業はもちろん、最近では業種業界を問わずさまざまな業務の現場に導入されています。IoTにより収集されたデータを高度に分析処理するAI(人工知能)やその精度向上に必要な機械学習の発達、さらにはセンサーデバイスの高性能化、通信インフラの低価格化、クラウドサービスの高機能化などもIoTの導入を後押ししています。

1日でテラ/ペタバイトクラスのデータが生成

一方で、IoTやAI/機械学習といった最新技術の活用によるデジタルトランスフォーメーションの取り組みが進むにつれ、新たな課題も浮き彫りになってきました。それは膨大な量のデータをどうやって扱うか、どこにためておくかという課題です。

主にセンサーデバイスが生成するデータは、日々刻々と増え続けています。インテルの試算によると、1日あたりに生成されるセンサーデータの量は、自動運転車が4テラバイト、航空機が5テラバイト、スマート工場が1ペタバイトにも上るといいます。

データ量が増えるのは、センサーデータだけではありません。例えば、4Kテレビ放送が始まる映像データもそうです。4K映像のデータ容量は、1時間で約3テラバイト(非圧縮時)にもなります。4K/8Kの高精細映像はテレビ放送に限らず、今後は企業や製品のプロモーションビデオ、マニュアル・資料用の動画、セキュリティカメラが撮影する監視・証跡、自動車の運転アシストなどの用途にも活用されることが見込まれます。

さらに工場の生産ラインにおける品質チェックや不良品検出、X線CTやMRIなどの医用画像診断、農作物の生育状況確認、顔認識による認証といった用途に使われる高解像度画像データをはじめ、VR/ARやCAD/CAM/CAEで使われる三次元コンピュータグラフィックス(3DCG)データ、セキュリティ対策に利用されるアクセスログや操作ログなどのログデータといったように、データそのものも大容量化が進んでいます。

こうしたデータ量は指数関数的に増大し続け、調査会社IDC Japanのレポートによると、全世界で年間に生成されるデータ量は2025年に163ゼタバイト(163兆ギガバイト)になると予測されています。この数字は2016年に比較して約10倍。つまり企業で扱うデータ量も、2015年には2016年比で10倍以上に増えると考えられるのです。

限界に近づくデータの保管場所

大容量のデータを保管するために、従来はストレージにたくさんのハードディスクを搭載することで対応してきました。しかし、いくらハードディスクが大容量化しても、増え続けるデータを保管できる容量は限られます。ストレージをスケールアップしてハードディスクを追加するのも、ストレージをスケールアウトして台数を増強するのも、データセンターやサーバールームの設置場所、床荷重、供給電源容量などの制限による限界があります。すでに現行のストレージでは対応しきれないところまで達しようとしているのです。

ハードディスクのストレージのデメリットはそれだけではありません。エンタープライズクラスのストレージは非常に高価であり、自社に適切なストレージ容量を見誤るとコスト効果を得られない場合もあります。導入費用はもちろん、その後の運用や数年おきに生じるリプレースなども考えなくてはなりません。また、セキュリティの脅威とも無関係ではありません。昨今ではランサムウェアの被害が世界各所で確認されていますが、クライアント端末のデータだけでなく、NASなどのネットワーク接続にしていたローカルのディスクストレージ内のデータを標的にしたものも現れています。

そこで、これまでのストレージに代わるデータの保管場所を考えなければなりません。選択肢として有力なのが、クラウドストレージを利用する方法です。現在、多くのパブリッククラウド事業者がストレージサービスを提供しており、事業者によって内容は異なるものの容量無制限でデータを保管できるサービスも存在しています。

確かにクラウドストレージにはメリットが多いです。ハードウェアを所有して保守・運用することなく、必要に応じて容量を自在に拡張できるというメリットは、実に魅力的だと言えるでしょう。

どうしても残るクラウドのデメリット

しかしながら注意すべき部分もあります。特にデータ保全の責任については、知っておかなければなりません。クラウドサービスは一般的に、ハードウェアを仮想化するハイパーバイザーまでのインフラについては責任を持っています。しかし、ユーザーが読み書きするデータについては責任の範囲外なのです。クラウドサービスに大規模障害が発生し、データが消失して回復できないとしても、事業者に責任を問うことができないのです。どの事業者も、ストレージを三重四重に冗長化し、データ保全性の高さをうたっていますが、データ消失の危険性はゼロではありません。実際に高い安全性をアピールしながら、データ消失事故を起こした事業者もいます。結局最後に責任を持たなければならないのは、ユーザー自身なのです。

また、事業者によってはデータ保管場所のデータセンター所在地を明らかにしていなかったり、海外のデータセンターしか選べなかったりすることがあります。機密性の高い個人情報や証跡など、データによっては国外に出したくない、あるいは企業ポリシーによって国外持ち出しを禁止している場合もあるでしょう。

そうなると、国内のオンプレミス環境にも導入可能で、拡張性に優れたストレージを探すしかありません。それにはどんな選択肢があるのか、こちらの記事で、大容量データを扱うのに最適なストレージについて考えてみたいと思います

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