旧式のOS、ブラウザでご利用になっています。
最新のOS、ブラウザにアップデートしてください。

「分け方」を変えればその問題は解決する!

vol.5

聞き手の興味を惹きつける
プレゼンでの話の「分け方」とは?

「導入」「中盤」「締め」の3つに分けて語りかける

「長年通い詰めたお客さまから、商品を説明する千載一遇の機会をいただいた」
「いま考えている新しいプロジェクトについて、役員会で説明することになった」
ビジネスでは、そんな失敗の許されないプレゼンのチャンスが何度も訪れるものです。

次にいつチャンスが訪れるかわからないので、「あれも話したい」「これも話したい」と、伝えたい内容が次から次へと湧き出し、気がついたらプレゼン資料が30ページに膨れ上がってしまった、などという経験をした人も意外と多いのではないでしょうか。

そのうえ、話す順番がきちんと整理されておらず、資料の順にだらだらと説明するだけでは、聞き手は何がポイントなのかがつかめなくなり、飽きられてしまいます。

また、通常プレゼンの時間は15分、30分といったように限られており、その時間内で話をまとめなければなりません。だらだら説明しているとたちまち時間が経って、本当に伝えたいことにたどり着く前に時間切れとなってしまうこともあります。これでは、せっかくのチャンスが台無しです。

プレゼンで話す内容にも、聞き手を惹きつける上手な「分け方」があります。

与えられた時間を「導入」「中盤」「締め」の3つに分け、それぞれの時間帯に語りかける内容を整理するのです。

相手が前のめりになる構成とは!? プレゼンで聞き手を惹きつける話の分け方

相手に興味を抱かせる内容は「導入」に持ってくる

忙しいお客さまや役員は、話を聞くのにそれほど多くの時間を割いてくれません。そこで15分のプレゼン時間を与えられた例を想定してみましょう。この場合、「導入」は3分、「中盤」は9分、「締め」は3分ぐらいの時間配分にします。

最も重要なのは「導入」のパートです。ここで聞き手にしっかり興味を抱かせないと、最後まで話を聞いてもらえなくなるからです。

まずは「このプレゼンの目的は何で、何が問題なのか」についてわかりやすく説明します。聞き手に、その問題を「自分事だ」と思ってもらえるように訴えかけるのがポイントです。

たとえば、「少子高齢社会への備え」について話すのであれば、「老後の生活資金について」といった話ではなく、「あなたが75歳になったとき、貯金はどれくらい必要でしょうか?」といった身につまされる話から始めてみるのもいいでしょう。
老後への備えが不十分で苦労をなさっている方の体験談など、実例や具体例を交えて説明するのも効果的です。

「中盤」はさらに3つに分け、語りかける情報を絞り込む

相手の心をつかんだところで「中盤」に移ります。ここは9分と最も長い時間帯ですが、とりとめもなく話をすると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。伝えたいことを漏れなく、テンポよく伝えるために、中盤は3分ずつの3ブロックに分けましょう。

「少子高齢社会への備え」に関するプレゼンであれば、「1.老後のお金」「2.老後の健康」「3.老後の楽しみ方」といったようにポイントを3つに分け、順を追って説明します。

それぞれのポイントで説明する内容も、あらかじめ整理しておくといいでしょう。
3分というと、400字詰の原稿用紙で3枚ほどの情報が語れる時間の長さです。この情報量を目安に、語るべき内容を絞り込んでおくのです。

説明したいポイントが3つ以上ある場合、たとえば5つあるなら、重要な3つに絞って、あとの2つはオマケ程度の短い説明にしたほうがいいでしょう。聞き手はあまりたくさんのことに関心をもってくれません。

最後の「締め」では、プレゼン内容を箇条書きなどに整理して振り返ると同時に、聞き手の感情に訴えかけるようなエピソードを加えてみるのが効果的です。

たとえば、「若いときは金回りもよく遊んで暮らしていた方が、備えなく迎えた老後の生活に苦労したうえに健康も害して本人だけでなく家族も大変な晩年をおくった」といったエピソードを添えると、プレゼン内容がより印象深く聞き手の心に残るのではないでしょうか。

このように、プレゼンにおいても時間を分けて考えると、伝わりやすく整理された話をつくることができますのでお試しください。

“分け方”のポイント
プレゼンで話す内容は
3つに分け、「導入」で
聞き手の興味を惹きつける

PROFILE

下地寛也しもじ・かんや
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。コクヨ入社後、オフィスの設計に従事。その後、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務を担当。現在は経営管理本部でコクヨグループの働き方や風土・文化の改革にも取り組んでいる。著書に『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら、「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)など。

記事公開:2019年1月