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第4次産業革命の主導権争いに
名乗りを上げる日本の
「コネクテッド・インダストリーズ」とは?

2017年3月、経済産業省(以下、経産省)は、今後日本の産業が目指すコンセプトとなる
「コネクテッド・インダストリーズ(Connected Industries)」を発表しました。
これは、現在世界各国が進める第4次産業革命の日本版ともいえるものです。
今回は、世界の先進国の先を行くために日本が打ち出した
コネクテッド・インダストリーズとは、どのようなものなのかを見ていきます。

日本独自の強みを生かす
コネクテッド・インダストリーズ

2010年代に入り、急速に普及したIoTと、進化を遂げるAIによって、第4次産業革命と呼べる状況が生まれています。中でも世界に先駆けて、産業にIoTやAIを活用する取り組みを始めたのがドイツです。ドイツ政府は、2011年に製造業のデジタル化・コンピューター化を推進する産官学共同の国家的プロジェクト「インダストリー4.0(ドイツ語=Industrie 4.0、英語=Industry)」を発表しました。

インダストリー4.0は、「サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System、以下CPS)」という仕組みを活用しています。CPSとは、まず現実世界(フィジカル空間)にある多彩な情報を、IoTやセンサー技術などを使って収集してデータ化。そのデータをサイバー空間に送り、サーバなどに蓄積します。そして蓄積された膨大なデータ(ビッグデータ)をAIなどで分析し、その結果を現実世界にフィードバックするというものです。

現在、ドイツ以外にも、フランスが「Industrie du Futur(産業の未来)」、中国が「中国製造2025」といった第4次産業革命に取り組んでおり、それらはいずれもCPSを基盤にしています。CPSの導入に加えて、日本ならではの強みを生かそうとするコンセプトが、「コネクテッド・インダストリーズ」なのです。

コネクテッド・インダストリーズの
特徴は「人間中心」

日本の製造業の強みは、製造現場に正確なデータが豊富に蓄積されていることです。その一方で、日本は少子高齢化や労働力不足といった社会的課題を抱えています。IoTやAIの導入は、その課題を解決するために有効な手段であるにもかかわらず、データの利活用に関しては諸外国に大きく遅れをとっているのが実情です。コネクテッド・インダストリーズは、こうした状況を背景に考えられたもので、企業間・産業間・国家間などでの連携やデータの利活用といった「様々なつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会」を掲げています。

そして、それを実現するものとして、下記の「3つの柱」を示しています。まず「人と機械・システムが対立するのではなく、協調する新しいデジタル社会の実現」です。次に「協力と協働を通じた課題解決」。最後が「人間中心の考えを貫き、デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進」です。これらの中で鍵になるのが、3番目の柱にも含まれている「人間中心」という考え方。これはシステムを優先する欧米とは異なっており、コネクテッド・インダストリーズの大きな特徴になっています。

コネクテッド・インダストリーズを支える3つの柱

【出典】経済産業省「Connected Industriesの概要」より作図

重点取組分野や横断的政策により
コネクテッド・インダストリーズを加速

経産省は、市場の成長性や国内産業が持つ強み、社会的意義の大きさなどから「自動運転・モビリティサービス」「ものづくり・ロボティックス」「バイオ・素材」「プラント・インフラ保守」「スマートライフ」の5つをコネクテッド・インダストリーズの重点取組分野に掲げています。そしてこれらに関しては、取り組みを加速させ、政策資源を集中投入していくとしています。また、並行して「リアルデータの共有・利活用」「AIチップの開発促進や人材育成などデータ活用に向けた基盤整備」「企業間や国際連携のさらなる加速に向けた体制整備」などについても、横断的政策を進める方針です。

企業間における産業データの活用に関しては、個社のデータの囲い込みを防ぐため、セキュリティ確保を要件としてデータ活用を行う民間事業者を認定・支援する制度を創設。さらに、データの連携や利活用により生産性を高める事業計画に対しては、優遇税制を適用する「コネクテッド・インダストリーズ税制」も検討されています。コネクテッド・インダストリーズでは、各企業が持つ豊富なデータの利活用が大きな鍵になります。そのため、経産省は「データの利用権限」の概念の普及にも努めており、データの扱いに関する契約が企業間で適正に結ばれるようにガイドラインも作成・公開しています。

コネクテッド・インダストリーズによる「勝ち筋」

【出典】経済産業省「METI Journal」より作図

コネクテッド・インダストリーズの
国際標準化が、日本の産業の活性化につながる

第4次産業革命は、国によって得意分野が異なります。したがって、国際間で連携しつつ、各国は自国システムの全世界への拡大を図っています。日本も、ドイツをはじめとして分野ごとに他国との連携を強化するなど、国際標準化を目指しています。また、日本企業が多数進出しているASEAN諸国は、今後コネクテッド・インダストリーズを一緒に進めることができる可能性を秘めています。

コネクテッド・インダストリーズが世界の主導権を握ることは、ひいては日本の産業の活性化につながります。国内でIoTやAI導入を推し進めると同時に、日本の製造業の強みである正確で豊富なデータをアピールして、できるだけ多くの国々を巻き込むことができれば、コネクテッド・インダストリーズは大きな実を結ぶことになるでしょう。

「コネクテッド・インダストリーズ」を支援する富士フイルムの製品・技術

  1. マシンビジョンレンズ
    産業用ロボットの「眼」として、製造ラインの製品検査や計測などで使用できる幅広いラインアップを揃えたマシンビジョンカメラ用レンズ。
    FUJINON マシンビジョンレンズ
  2. エンジニアリングソリューション
    エンジニアリング分野における先進・独自の技術を常に磨き、設備計画立案から導入後のフォローまで、全てのフェーズに対応できるソリューションを提供します。
    エンジニアリング分野の各種ソリューション
    (富士フイルムエンジニアリング株式会社)
  3. デジタルデータアーカイブ
    データの長期保管を低コストで実現。世界的な企業からも信頼される大容量テープカートリッジ。
    LTOテープ
    磁気テープを活用したストレージサービスとは
  4. デジタルデータ送受信・共有
    画像や映像などの大容量ファイルの送受信・共有から管理・活用までを、インターネットで「簡単」かつ「安全」に実現するクラウド型サービスです。
    ファイル管理・共有サービス IMAGE WORKS
    ファイル送受信サービス SECURE DELIVER
  5. その他産業用材料
    「コネクテッド・インダストリーズ」がより発展するためにはさまざまな技術、材料が必要となります。富士フイルムでは、製造工程で利用いただける各種機材を提供しております。詳しくは、富士フイルムウェブサイトにて紹介しております。
    製造・生産
  6. 医療ネットワーク
    富士フイルムは、医療ネットワークの構築に取り組んでいます。クリニック、総合病院、そして専門病院がつながれば、患者さんは、もっと手軽に高度な医療を受けることができる。医療の質も効率も向上する。富士フイルムは、医療のあしたを見つめています。
    世界は、ひとつずつ変えることができる。

記事公開:2019年2月
情報は公開時点のものです