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図解で思考整理

ビジネスマンが抱える悩みを、「図」にすることで解決します。

vol.18 ポジショニングマップを用いて
顧客視点で自社商品の位置付けを確認する。

購買決定要因を縦軸と横軸にしてマップを作る

ターゲットとなる顧客層に対して、自社商品またはサービスの独自性、つまり競合と比べた時の差別化ポイントを明確にすることをポジショニングといいます。そして、このポジショニングを可視化するためのフレームワークが、今回ご紹介するポジショニングマップです。

ポジショニングマップを作成する際は、ターゲットの購買決定要因(KBF=Key Buying Factor)を定めることが重要です。具体的にいうと、「価格」や「機能性」といった、顧客が商品を選ぶ際に“決め手”となる要因です。
まず、とりわけ重要となる2つの要因を縦軸と横軸に据えた座標軸を作成し、自社商品と競合する商品を円形で描いて、位置付けを表します。その商品のカバーできるエリアが大きければ、それだけ円を大きく描いて示します。
作成したマップにおける自社商品の位置付けが競合する商品と大きく重なっていれば、商品の差別化が不十分であることを意味します。反対に、ほかの商品の存在しない領域に自社の商品があるなら、独自性を打ち出せる可能性が大である、といえます。

とはいえ、領域を独占できるからといって、ただ高価格エリアに新商品のポジションを定めるのでは、「値段の割に合わない商品を買わされる」と、不評をかってしまう可能性もあります。ポジショニングマップの作成にあたっては、あくまで“顧客視点”で位置付けを決めるのが、もっとも重要なポイントです。客観性を欠く自社本位の位置付けでは、自社の考えるポジショニングと顧客の意識にズレが生じてしまい、フレームワークによる成果が期待できないのです。

※フレームワーク…経営戦略や業務改善など、さまざまなビジネス局面において、課題解決や現状分析をするための思考方法。思考の枠組み。

ポジショニングマップの例

市場における自社の立ち位置を確認する場合にも有効

顧客が求める商品を知りたい時や、顧客の視点から自社商品を評価すべき時に有効なポジショニングマップは、新商品開発や商品のリニューアルで用いられる手法です。 座標軸の縦軸と横軸に据える購買決定要因も、例の「価格」や「機能性」ばかりでなく、ターゲット層の見直しや商品の特殊性に応じて、「軽量性」「操作性」「静音性」「カスタマイズの自由度」など、さまざまな観点からの抽出が可能になります。

また、商品の位置付けだけでなく、市場における自社の立ち位置を整理して理解するのにも役立ちます。この場合は、購買決定要因に「価格帯」「ハイファッション・ベーシック」「カジュアル・フォーマル」などを用いて、単体の商品でなく、自社と競合他社それぞれの代表ブランドや企業そのものを座標軸に位置付けていきます。顧客が自社に対して抱くブランドイメージが、すでに形成されているかどうかを把握する手がかりにもなるでしょう。

自社の商品やサービスの特性をアピールして差別化戦略を推し進めていくために、ポジショニングは重要ですが、同時にそれと連動したマーケティングミックスが売上や収益の最大化のカギとなります。

※マーケティングミックス…商品、価格、販売経路、宣伝活動など、マーケティングの構成要素を有機的に組み合わせて相乗効果を引き出すこと。

PROFILE

永田 豊志
永田 豊志ながた・とよし
知的生産研究家、ショーケース・ティービー共同創業者兼取締役副社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、ショーケース・ティービーを共同設立。図解思考、フレームワーク分析などビジネスパーソンの知的生産性研究にも取り組んでおり、国内外で執筆活動や講演でそのノウハウ普及を行う。

記事公開:2018年12月