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図解で思考整理

ビジネスマンが抱える悩みを、「図」にすることで解決します。

vol.22 4つの手順でムダな仕事を減らす。
「ECRS」で簡単業務改善。

ムダの多い働き方から脱するための4つのキーワード

色々な職場で働き方改革が進むにつれ、限られた時間のなかで必要な業務を遂行していく必要性がますます高まっています。やることは山ほどあるのに、残業はできない……。ルーティンをこなしているうちにタスクはどんどんたまっていくばかり……。上から下から課題が持ち込まれ、あれもこれもと考えて何から手を付けていいのかわからない……。
そういう時は、業務プロセスを見直して、本当にやるべきことを整理してみることが大事です。

業務のプロセスを改善するために有効とされるフレームワークに、ECRS(イクルス)があります。
ECRSとは、

① 排除(Eliminate)
② 結合(Combine)
③ 交換(Rearrange / Replace)
④ 簡素化(Simplify)

の4つのキーワードの頭文字をとったもので、4ステップで業務改善を進める手法。次の①から④の順で業務内容を精査しながら改善策を探っていきます。

① 排除【なくせないか?】
業務の目的や最終目標を見直して、必要のない業務や工程を考える

② 結合【一緒にできないか?】
時間短縮や人的リソース軽減のために、同時に進められる作業、統合できる工程を考える

③ 交換【入れ替えられないか?】
作業の順序、担当者または担当部署を入れ替えて、効率化できないか考える

④ 簡素化【単純にできないか?】
作業の一部を省略して、同じ成果を出せないか考える

※ フレームワーク・・・経営戦略や業務改善など、さまざまなビジネス局面において、課題解決や現状分析をするための思考方法。思考の枠組み。

ECRSの4段階の改善手法

業務を改善するために、上図のように、[排除]→[結合]→[交換]→[簡素化]の順で点検して改善策を検討します。段階を追うごとに改善の効果が小さくなるのが特徴です。

ムダ・コスト抑制だけでない、さまざまな改善法がある

業務改善策を考える際、ムダをなくしてコストを抑えることにばかり目が行きがちですが、改善の方法はそれだけではありません。1つの方法に固執せず、業務全体で総合的に改善策を探っていくのが、ECRSによる業務改善を成功させるコツです。
各項目を検討するなかで、たとえば、[交換]で検討したものを[簡素化]のステップで再検討してもかまいません。むしろ各視点から繰り返し見つめ直すプロセスを通じて業務の原点に立ち返り、本当にやるべきこと、真に必要な業務を探ってビジネスの活性化につなげる姿勢が重要なのです。

また、業務改善に取り組んで成果をあげた後でも、内的あるいは外的要因から最善の業務プロセスは変化していきます。業務の改善に終わりはないものと考え、ECRSの手法を活用した定期的な見直しを心がけてください。

PROFILE

永田 豊志
永田 豊志ながた・とよし
知的生産研究家、ショーケース代表取締役社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、ショーケース・ティービー(現ショーケース)を共同設立。図解思考、フレームワーク分析などビジネスパーソンの知的生産性研究にも取り組んでおり、国内外での執筆活動や講演でそのノウハウ普及を行う。

記事公開:2019年6月