夏の太陽をイメージした画像。

紫外線カット剤(UV吸収剤)

特定の不要な紫外線波長(280~400nm)を選択的にカットできる、粉状の素材です。

「紫外線カット剤(UV吸収剤)」とは?

紫外線カット剤(UV吸収剤)は、有害な紫外線から人や樹脂を保護するために使用される添加剤です。
紫外線を吸収し、そのエネルギーを熱などに変換することによって、人や樹脂が紫外線に暴露する量を低減することができます。

赤外線カット剤の効果を説明した画像。太陽から紫外線・可視光線・赤外線が入射、一般的な透明フィルムは、すべての光線を透過している。紫外線カット剤含有層を積層した透明フィルムは、可視光線・赤外線は透過するが、紫外線を遮断している。

富士フイルムの「紫外線カット剤」の特長

長波長UV領域(400nm前後)をカットしながら、低着色・低ヘイズを実現。

【特長1】シャープカットだから「低着色」

従来の紫外線カット剤で、400nm付近の長波長紫外線 (長波長UVA-Ⅰ) をカットする場合、カットしたい波長以外の光も多くカットしてしまうため、黄色い着色が起こってしまう課題がありました。

富士フイルムの紫外線カット剤は、不要な波長だけをシャープにカットします。このため、長波長の紫外線をカットしつつ、従来よりも着色を抑制することができます。

従来の紫外線カット剤と、富士フイルムの紫外線カット剤を比較した透過スペクトルのイメージ図。400nmまで紫外線をカットした場合、従来の紫外線カット剤は可視光線も広くカットしてしまう。富士フイルムの紫外線カット剤は、不要な可視光領域のカットが少ないため、低着色を実現している。

【特長2】樹脂と相溶するから 「低ヘイズ」

富士フイルムの紫外線カット剤は、すべて有機系の化合物です。

無機粒子の特定波長カット剤は、樹脂中に均一に分散させる必要があり、粒子のサイズによってはヘイズ(光散乱)が発生しやすくなります。
富士フイルムの特定波長カット剤は、樹脂と相溶しやすく、透明性の高いフィルムや成形体を作成しやすい特長があります。

【特長3】光の吸収能力が高いから「薄膜」にも使用しやすい

富士フイルムで開発したオリジナル骨格の紫外線カット剤は、一般的な紫外線カット剤と比較して、ε(モル吸光係数、物質が光を吸収する強さ)が大きい特長があります。
このため、コーティングや光学フィルムなどの薄膜に適用しても、十分な吸収特性を示します。
また、一般的な紫外線カット剤に対して添加する量を低減できるため、フィルムや成形体からのブリードアウト抑制にもつながります。

ロールフィルムのイメージ写真。

【特長4】高耐光性・高耐熱性のラインアップも

有機化合物は、無機粒子と比較して一般的に耐熱性や耐光性が弱いという特長があります。
そんな中、富士フイルムでは独自の技術で高耐熱・高耐光性の紫外線カット剤を開発。
高い耐熱性・耐光性が求められる車載グレードの試験に合格する素材もございます。

直射日光が当たる道路のイメージ写真。

【特長5】選べる加工方法(コーティング、混錬、重合 など)

例えば、以下のような加工にあった素材をご用意しています。

  • 溶剤に溶解させてコーティング剤やインクとして使用する場合
  • 樹脂と混錬して成形加工する場合
  • 水に溶解させて水系コーティングに使用する場合
  • モノマーに溶解させ、硬化させて使用する場合

光学特性と加工方法に応じて、適切な素材をご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

粉末化合物のイメージ写真。

推奨する分野・製品・目的

上記のような特長から、以下のような分野や製品への適用を推奨しています。

分野:ディスプレイ、光学分野、自動車、建築など

パソコンディスプレイのイラスト
自動車のイラスト
建物のイラスト

製品:コーティング剤、光学透明粘着剤(OCA)、レンズ、光学フィルム、光学フィルター

塗料のイラスト
眼鏡のイラスト
光学フィルムのイラスト

目的:UVカット(日焼け防止、目の保護など)、樹脂・素子の劣化防止

太陽のイラスト
劣化した樹脂容器のイラスト

富士フイルム製「紫外線カット剤」(開発品)

1.高溶解性 紫外線カット剤(塗料、塗布・コーティング、流延(キャスト)用)

透過スペクトル

紫外線カット剤OUV-012とOUV-015の透過スペクトル。OUV-012は、波長約380nmの透過率が0%で、約400nmにかけて透過率が向上している。OUV-015は、波長約400nmの透過率が0%で、約430nmにかけて透過率が上昇している。
サンプル名溶液吸収溶解性(代表例)特長
λmax
(nm)
測定溶媒メタノール酢酸エチルトルエンPGMEA
OUV-006375酢酸エチル可溶可溶可溶可溶
(推定)
不溶
  • 長波長UV領域をカット
  • 高耐光性
  • 溶解用途にも混錬用途にも適する
OUV-012369酢酸エチル可溶
(推定)
可溶可溶
(推定)
可溶
(推定)
不溶
  • 低着色
  • 高溶解性(有機溶剤、バインダー)
  • 溶解用途にも混錬用途にも適する
OUV-015387酢酸エチル難溶可溶可溶可溶不溶
  • 長波長UV領域をカット
  • 高耐光性
  • 溶解用途にも混錬用途にも適する

2.樹脂練込み用 紫外線カット剤 (混錬、ペレット化用)

透過スペクトル

紫外線カット剤OUV-004とOUV-014とOUV-018の透過スペクトル。OUV-004は、波長約370nmの透過率が0%で、約420nmにかけて透過率が上昇している。OUV-014は、波長約400nmの透過率が0%で、約420nmにかけて透過率が上昇している。OUV-018は、波長約410nmの透過率が0%で、約440nmにかけて透過率が上昇している。
サンプル名溶液・膜吸収溶解性(代表例)特長
λmax
(nm)
測定溶媒メタノール酢酸エチルトルエンPGMEA
OUV-004278/354酢酸エチル難溶
(推定)
可溶
(推定)
可溶可溶
(推定)
不溶
  • 高耐熱性
  • 高耐光性
  • ある程度の溶解性も有する
OUV-014364ポリカーボネート不溶
(推定)
不溶
(推定)
不溶
(推定)
不溶
(推定)
不溶
  • 長波長UV領域をカット
  • 低着色性
  • 高耐熱性
  • 有機溶剤への溶解性は低く混錬向き
OUV-018380ポリカーボネート不溶不溶不溶不溶不溶
  • 長波長UV領域をカット
  • 低着色性
  • 高耐熱性
  • 高耐光性
  • 有機溶剤への溶解性は低く混錬向き

3.水溶性 紫外線カット剤

透過スペクトル

紫外線カット剤OUV-016の透過スペクトル。波長約395nmの透過率が0%で、450nmにかけて透過率が向上している。
サンプル名溶液吸収溶解性(代表例)特長
λmax
(nm)
測定溶媒メタノール酢酸エチルトルエンPGMEA
OUV-016387難溶不溶不溶不溶可溶水溶性紫外線カット剤

4.重合性・反応性 紫外線カット剤

透過スペクトル

紫外線カット剤OUV-010とOUV-011の透過スペクトル。OUV-010は、波長約420nmの透過率が0%で、450nmにかけて透過率が向上している。OUV-011は、波長約395nmの透過率が0%で、450nmにかけて透過率が向上している。
サンプル名溶液吸収溶解性(代表例)特長
λmax
(nm)
測定溶媒メタノール酢酸エチルトルエンPGMEA
OUV-010405酢酸エチル可溶
(推定)
可溶
(推定)
可溶
(推定)
可溶
(推定)
不溶ラジカル重合系の重合性基を含有しているので、反応によって樹脂からのブリードアウトを抑制します。
OUV-011380酢酸エチル可溶
(推定)
難溶
(推定)
難溶
(推定)
難溶
(推定)
不溶
  • ゾルゲル液へ溶解し、シランカップリング剤と反応します。均一かつブリードアウトのないゾルゲル膜を作成できます。
  • エポキシ基と反応し、熱硬化性樹脂からのブリードアウトを抑制します。

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書類のイラストが描かれたアイコン

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