富士フイルムのデザイン

CASE
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Jetpress 750S
富士フイルムが世の中に送り出すさまざまな製品たち。それらは“デザイン”という意匠を通じて、お客さまの目に触れています。お客さまと五感で触れ合う「富士フイルムのデザイン」はどのように生まれているのでしょう? デザイナーたちの想いと技に迫ります。
多くのデザイン的制約の中で
先進性と作業効率を両立するデザイン
「Jetpress 750S」は、業務用のインクジェットプリンタです。インクジェットプリンタといえば、家庭用でもお馴染みですが、こちらはB2判というポスターサイズを1時間になんと3600枚も印刷できるそう。全長も7.35mと、業務用ならではのビッグサイズですね! 「入り口から紙を入れ、インクジェットで高速プリントして乾燥、出口から印刷されて出てくるという構造は10年以上変わっていません。でも、このJetpress 750Sでは、前モデルより全長を70cmも短くしているんです。これにより15%の省スペース化を実現しているのも外観に大きな影響を与えています」 現場での作業でも、たくさんのメリットがありそうです。

「これはデザインを検討している段階で作成した3Dプリンタによる立体モデルです。人の大きさと比べると、その大きさがわかっていただけるのではないでしょうか」
すごくわかりやすいです(笑)。業務用のプリンタですが、シルバーとブラックを基調にした精悍なデザインも印象的です。
「これまではどちらかというと医療機器のように、アイボリーやホワイトを使うことが多かったのですが、最近は業務用機器でもこのようなシンプルなデザインが時流になっていると感じます。
デザイン最優先の機器ではないので、形状には多くの制約がありますが、その中で形を整理し、先進性やデジタル感を表現していきました。シンプルな形状はメンテナンス性や清潔性を高めることにも貢献しています」
GUIと作業動線デザインで
プロが求める「1秒でも速く!」に応える

これはタブレット端末ですね。
「Jetpress 750S本体の操作パネルとは別に、ワイヤレスで本体の状況や印刷タスクが確認できるタブレットに対応しました。インクや紙の残量はもちろん、機器の温度や圧力などが一目でわかるようになっています。
これまでは文字や数字ばかりで表現されていたのですが、直感的かつシンプルなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)にしたことで、熟練工でなくても精度の高い作業ができるよう工夫しています。また、ワイヤレスなので機器から離れて使えることもメリットです」

実際にJetpress 750Sを使う現場の方々からはどのようなニーズがあったのでしょうか? 「印象的だったのは『なるべく早く作業を進めるために、確認のダイアログもいらない』という言葉でした。例えば家庭用のプリンタなどは印刷実行の前に何度も確認ボタンを押しますよね。失敗プリントをしないために必要なステップですが、プロの現場ではそれも『無駄な時間』なんです。画面操作はもちろん、作業動線や作業ステップを検証して、『1秒でも、1クリックでも速く』を徹底しています」 プロの現場の作業全体をデザインする。それもデザインセンターのお仕事なんですね!
「Jetpress 750S」は、2018年のグッドデザイン賞を受賞しました。デジタル印刷へのニーズが高まる中で少部数・多品種・短納期での印刷を実現したこと、格調あるデザインなどが評価された受賞でした。
COLUMN こんなところも「自分たちで作る」心意気
富士フイルムデザインセンターのロゴが納まっているのは、ミーティングスペースのガラスドア。印刷でもいいのに、それでは気が済まないのがデザイナーのみなさん。シルバーに輝く立体ロゴを作ってしまったそうですよ。

designer
現場での作業をよりスムーズに、
短くすることにこだわりました。