富士フイルムのデザイン

CASE
05
社会インフラ画像診断サービス
ひびみっけ
富士フイルムが世の中に送り出すさまざまな製品たち。それらは“デザイン”という意匠を通じて、お客さまの目に触れています。お客さまと五感で触れ合う「富士フイルムのデザイン」はどのように生まれているのでしょう? デザイナーたちの想いと技に迫ります。
ひび割れ点検を、スピーディに、正確に。
その機能を端的に言葉に込めたネーミング。

今月の『フジしか知らない世界』でも紹介している、『ひびみっけ』。写真を合成・分析してひびを検出することで、トンネルや橋の点検を支援するサービスです。
富士フイルム デザインセンターでは、『ひびみっけ』のロゴデザインだけでなく、そのネーミングも手がけたといいます。
「今回はサービスの扱う対象がとても巨大でした。でも、見つけるものはとても小さい『ひび』なんです。機能としての『画像分析』などの言葉をネーミングに取り込むことも考えましたが、どんなメリットがあるかがわかりづらいと思いました。そこで、どういう想いを誰に届けたいかを明確にするために、担当者へのヒアリングを入念に行いました。

こちらは「ひびみっけ」というサービス名が決まる前に、展示会で参考出品したときのパンフレット。「社会インフラ画像診断サービス」という名前が付いています。どのような試行錯誤で、「ひびみっけ」が導き出されたのでしょう?
「サービスを利用する現場の作業員の方々にとって親しみやすいネーミングが大事だと思いました。変に英語を入れてカッコよくするのではなく、日本語をベースに直感的に理解しやすいものに絞り込んでいきました。
ネーミングは、サービスが「将来こうなってほしい」という希望を表現したものだと思います。『ひびを見つける』ということをポジティブに伝える言葉を探していく中で、『ひびみっけ』というサービス名が生まれました」
文字の形、音のリズムを、
カタチに落とし込むこと。

こちらが最終的なロゴです。「ひび」の濁音で亀裂を表現しているんですね! 「ネーミングをしながら、ロゴをどんな形にするのかも同時に考えています。文字として長すぎず、音のリズムがあること。ひらがなとカタカナどちらを採用するかなど、さまざまな組み合わせを検討していきました」

ほかの案も少し見せていただけますか? 「いくつかの案を比較すると、『ひび』という文字を白ヌキにすることで構造物を感じさせていたり、文字を斜めに倒すことでスピード感を表現したりといった狙いがわかっていただけるかもしれませんね。主な診断対象に橋があったので、橋をイメージする意匠をしたパターンも用意していました」
ネーミング前の「社会インフラ画像診断サービス」と、「ひびみっけ」。
比較してみると、ネーミングとロゴがいかに重要かよくわかります。名前や響きまで含めた、
デザインの奥深さを感じた「ひびみっけ」でした。
COLUMN
トイレのサインだって、
オリジナル
先月紹介した、地下の打ち合わせスペースへの階段途中にある女子トイレ。このサインだって、「デザインセンターオリジナル」です。

designer
名前にすべては込められない。
だからできるだけ端的に表現しました。