人はそれぞれ、大切なときをいつまでも残したくて写真を撮っています。
あなたは、どんな写真を撮っていますか?
ここでは、あなたの街にもいる「普通の人」が撮っている ”日常の写真”とその”想い”について、シリーズでご紹介します。


パン好きフードライターが写す
世界のスノードームコレクション
取材したパン職人に影響されて
自宅の庭に石窯を設置
フードライターとして、国内外のプロの料理人向けの雑誌などに記事を執筆している横浜在住の松野玲子さん。執筆ジャンルは料理全般ですが、なかでも菓子やパン関連を取材することが多いそう。ご自身もパンコーディネーターの資格を持ち、ときどきパン教室も開催しています。
松野さんは約8年前、横浜の自宅の庭に、パンを焼くための石窯を作りました。「パン職人の方を取材していると、石窯でパンを焼いている人も多く、なかには自作の窯を持っている人もいて、話を聞いているうちに自然と作ってみたいなと思うようになったんです」と松野さん。大工仕事が好きなお父さまに相談して設計図を書いてもらい、材料の耐火レンガはホームセンターなどで取り寄せました。おもに週末を使って家族で作業を進め、約半年をかけて完成させたという石窯は畳1畳分、高さ約1メートルもある大きなものです。
完成後は2カ月に1回程度のペースで、石窯を利用したパンや料理で友人たちをもてなす「石窯会」を開催しています。メイン料理はワイルドな肉料理が定番。土鍋に肉を入れて石窯に放り込むと、驚くほど柔らかくなるそうです。デザートには釜飯の釜に入れて作るプリン、そしてもちろん松野さんがお得意のパンも石窯で作ります。

約70個のコレクション
美しい姿を写真で保存
そんな松野さんが写真に撮っているのが、学生時代から集めているスノードームです。アメリカに留学していたころ、観光地のお土産屋さんで見つけたスノードームのかわいさに心を奪われました。「どこにでもあるお土産だし、3ドル程度と値段も安かったので集めはじめました。行った場所がデザインされているので旅の思い出にもなります」と松野さん。
その後、各地に出かけるたびに買い求め、さらには集めていることを知った友人たちがお土産に買ってきてくれるようになって、いつしかコレクションは70個近くになりました。
集めたスノードームは「お気に入り」「動物モノ」「いつか行きたい国」などカテゴリごとにわけて本棚などに並べています。スノードームを写真に撮る理由を聞くと、「美しい状態をきちんと残しておきたいからですね。ガラスなので割れてしまう可能性もあるし、やっぱり年々雪の状態も劣化もしていく。古いものは水も濁りやすいので、年末は水の入れ替えが恒例行事です。数が多いので1日がかりですね」と笑いながら話してくれました。雪があってこそのスノードームなので、写真を撮るときは雪のちらつかせ方にもこだわり、撮影には結構時間がかかるのだとか。
仕事やプライベートで海外に行く機会はあるものの、いつかはもう一度海外で暮らしてみたいという松野さん。スノードームを見ながら、世界のいろいろな街に思いを馳せているようです。


フードライター。パンづくりが趣味で、All About「ユニークな手作りパン」ガイドを務めるほか、自家製の石窯でワイルドにパンや料理を作って、もてなす「石窯会」を定期的に開催するアラフィフ女性。