人はそれぞれ、大切なときをいつまでも残したくて写真を撮っています。
あなたは、どんな写真を撮っていますか?
ここでは、あなたの街にもいる「普通の人」が撮っている ”日常の写真”とその”想い”について、シリーズでご紹介します。


第二の人生は陶芸家
大切な作品を写真で記録
やきものに魅了されて脱サラ!
趣味の日曜大工で、陶芸教室の内装も手作り
さいたま市の「ろんど・で・あるぎいろ陶芸教室」を主宰する三隅鉄雄さん。長年、都内にあるコーヒーメーカーの情報処理部門で働いていましたが、10年前、55歳のときに脱サラし、念願の陶芸教室を開きました。教室名はエスペラント語(国際共通語)で「土の会」という意味です。
「以前は55歳が定年でしたから、なんとなくその年齢が頭にあって。もうその後にやりたいことが膨らんでいたんですよね」。三隅さんが陶芸を始めたのは20代の頃。会社員時代に趣味として習いはじめると、すぐにその奥深さに魅了されていきました。
まったく異業種への転身でしたが、「会社員に比べたら大変じゃないですよ。満員電車での通勤もないですし」とサラリ。会社勤めのかたわら、地元の小学校や公民館で陶芸を教えるなど、地域に根差した活動に精力的だったこともあり、教室を開くとすぐに大勢の生徒さんが集まりました。生徒さんは小学生から80代と幅広く、今では県外から通っている人もいるそうです。
昔からものづくりが大好きだという三隅さんは、日曜大工も趣味。教室もほとんど手作りです。テーブルや収納棚、電動ろくろ、さらにはテーブルソー(のこぎり)などの工具まで作ったというから驚きですね。しかも、出来栄えはどれもプロ並み。本当に多芸多才です。

見たいときにすぐ見返せるように
作品はすべて写真に残して管理
三隅さんのカメラには、ご自身や生徒さんの大切な作品の写真がぎっしり詰まっていました。
「作品はすべて写真に撮って、パソコンに保存。生徒さんごとにフォルダを分けて管理しています。"前に作ったあの色にしたい"なんていわれることもよくありますから、みなさんが過去に何を作ったか、すぐに見られるようにしておくと便利なんですよ」
作品はハイアングルで撮影され、形や絵柄がひと目でわかります。また、作業中の風景も撮っていて、なかには赤ちゃんをおんぶしながら集中する生徒さんの写真も。アットホームで居心地がよいのか、赤ちゃんもすやすや。温かな教室の雰囲気が写真からにじみ出ています。
もともと企業の情報処理部門にいたとあって、デジタル関連はお手のもの。教室にはWi-Fiを完備し、撮った写真をその場で生徒さんに無料メールアプリで送信することもあるとか。また、自分の作品写真を個展の案内状に使ったり、作業風景をプリントして手順説明のパネルを作ったり、撮った写真を幅広く活用しています。
かねてより器に模様などを描く"絵唐津"というシリーズを手がけていることもあり、1年半前からは水墨画も習い始めたという三隅さん。これからの作品もますます楽しみですね。


2006年より「ろんど・で・あるぎいろ陶芸教室」主宰。第65回埼玉県美術展覧会入賞ほか受賞歴多数。2015年12月には教室10周年を記念した個展も開催予定。
http://yakimono696.com/
〒338-0812
さいたま市桜区神田463-2 神栄マンション102
ろんど・で・あるぎいろ陶芸教室