人はそれぞれ、大切なときをいつまでも残したくて写真を撮っています。
あなたは、どんな写真を撮っていますか?
ここでは、あなたの街にもいる「普通の人」が撮っている ”日常の写真”とその”想い”について、シリーズでご紹介します。


31歳の若き醤油職人が写す
醤油づくりの世界
老舗醤油蔵の4代目!
スポーツ少年から醤油職人へ
福岡県糸島市にあるミツル醤油の4代目、城慶典さんは1984年生まれの31歳。中学時代はバスケットボール、高校時代は野球に打ち込むスポーツ少年だったそうです。幼い頃から醤油が身近にあった城さんが醤油職人を志したのは高校生のときでした。
「祖父の代までやっていた手作りの麹で木桶に仕込む昔ながらの醤油をつくりたいと思ったんです」と城さん。大学では醸造学を学び、各地の醤油蔵での研修などを経て、2009年に実家であるミツル醤油へ入社。2010年から念願であった醤油醸造をはじめました。初年度は醸造用の木桶の修理や麹室の準備から始めなければならず、すべてが手探りだったといいます。
最近は醤油づくりも軌道にのり、全国各地を飛び回って、醤油づくりのワークショップも開催しています。「いまは醤油のことで忙しく、オフの時間はほとんどないですが、醤油の醸造はずっとやりたかったことなので満足しています」と楽しそうに話します。出張時のお楽しみは、各地のおいしいものを食べること。それに新たな出会いによる刺激も多いといいます。

「醤油に関心を持ってほしい」
醸造づくりの様子を写真に撮って公開
そんな城さんが撮っているのは、やはり醤油の醸造風景。たっぷり吸水させた蒸す前の大豆、麹を作っているところ、夏場の櫂入れ(もろみを混ぜるところ)など、原料が変化していく様子を細やかに記録しています。
撮影はスマホがメインで、撮った写真はブログやSNSにアップしています。「一人でも多くの人に醤油に関心を持ってほしいですね。写真を見ておいしそうだなと思ってもらえたら嬉しいです」とにっこり。Facebookに投稿した写真には「いいね」の数も多く、ファンの多さがうかがえます。
写真を撮ることには単なる情報発信以外の意味もあるといいます。
「醸造風景の写真を後で見返すと、当時の気持ちや状況など、忘れていた記憶がよみがえります。思い出というと大げさですが、懐かしい気分になり、ほっとしますね」
醸造風景以外には、出張先で出会ったおいしい料理の写真もよく撮るそうです。
「僕自身、料理はそれほどしないのですが(苦笑)、醤油の使い方の参考やアイデアのヒントにもなるので。ほかの人の料理の写真を見て"おいしそうだなあ"と思えば、撮り方を参考にすることもあります」
今後は「商品の販路をさらに開拓していきたいです」と意気込む城さん。日本の文化である醤油の魅力を日本中、そして世界へ伝えていってほしいですね。


ミツル醤油4代目。2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。夢であった醤油造りの復活を実現させ、地元・糸島を全国に発信している。
http://www.mitsuru-shoyu.com