人はそれぞれ、大切なときをいつまでも残したくて写真を撮っています。
あなたは、どんな写真を撮っていますか?
ここでは、あなたの街にもいる「普通の人」が撮っている ”日常の写真”とその”想い”について、シリーズでご紹介します。


仮名書道の料紙専門店で働く
20代女子のほのぼのペット写真
紙が好きで日本画から書道の世界へ
写真好きはカメラマンの父ゆずり
東京八重洲にある仮名書道の料紙専門店「こきん」で店長として働く高野渓子さんは、東京生まれ東京育ちの20代。仮名書道に使う料紙とは、染色や金銀箔、文様などを施した、とても美しい紙です。
書道こそ習っていなかったものの、学生時代に日本画を専攻していたため、和紙や墨、料紙などには興味を持っていました。「紙が好き」という純粋な思いから新たな分野に飛び込んだそうです。「仕事はまだ3年目です。思いのほか難しく、覚えることもたくさんあって、日々勉強ですね。書道ももっとしっかり勉強したいと思っています」とやりがいを感じています。
写真も好きで、大学では選択科目として写真の基礎を学ぶ授業をとっていたほど。「父がカメラマンだったので、写真は幼いころから身近な存在でした。初めて自分のカメラを持ったのは、たしか小学校低学年のとき。誕生日か何かにねだって買ってもらった記憶があります」。最近では親子でお互いの自信作を見せ合うこともあるそうで、「私が撮ったものは、ほとんどダメだしされるんですけどね」と楽しそうに話します。
以前は植物や風景を撮ることが多かったそうですが、約1年前に親戚から2匹の猫を引き取ってからは被写体が一変。カメラの中は愛猫たちの写真でいっぱいになりました。

成長が早い猫たちの小さな姿を写真に
動く被写体はカメラの練習にもぴったり
生後3カ月で高野家にやってきたのは2匹の兄弟猫でした。おっとりしたお兄ちゃんのジャム、そして好奇心旺盛だけど怖がりな弟のマロンです。「猫は成長も早いので、小さなころの写真をたくさん残したくて。それに動くから撮るのも難しく、もっと上手に撮りたいと思って何回もシャッターを押すうちに、枚数が増えた感じです」。いまでは2匹とも1歳5カ月。当初は雪のように真っ白で小さかった2匹の子猫も、ポイントカラーがくっきり現れ、すっかり大きくなりました。
「子どもがいないのであくまで想像ですが、世話の焼ける息子のような存在かな。ワガママでもかわいいから許してしまいますね。両親はもう、孫のように甘やかし放題です(笑)」。家族の温かな愛情に包まれ、写真の中でも幸せそうなジャムとマロンは、カメラ目線の表情もバッチリ。2匹はとても仲良しで、寄り添って眠る姿には、ついカメラを向けたくなるそうです。
「最近は絵を描く時間もなかなか取れず、絵も書道もカメラもまだまだ自分のものにできてはいませんが、いつかは絵画と写真と書と融合させた作品を作れたらと思います。自分の楽しみの時間や家族との時間、創作の時間など、うまくバランスをとった生き方がしたいですね」という高野さん。大切な家族である猫たちの写真も、ますます増えていきそうですね。


東京・八重洲にある仮名書道の料紙専門店「こきん」で働くアラサー女性。動物好きで、とくに猫とフクロウが大好き。最近は日本ワインの世界に魅了され、各地のワイナリー巡りも楽しむ日々。
http://www.kokinkana.jp/