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大切な家族との時間を写真におさめたくて何度もシャッターを切るけれど、カメラを構えてばかりの自分の写真がまったくない。そんなお父さんお母さんに「家族といっしょに写真に写りませんか」と提案し出張撮影をするのが、フリーカメラマンの大野秀典さん。雑誌を中心に人を撮り続けてきた大野さんが家族というテーマに出会ったきっかけは? お話を伺いました。
【聞き手】藤本智士(Re:S) 【写真】tsukao
家族写真撮影のかたち
大野秀典さん写真1

僕は写真の仕事を始めて現在10年目なんですが、もともと芸大とかではなくて、普通の大学に通っていたんですよ。で、大学を卒業してから、サンフランシスコで2年間カメラマンのアシスタントをして、こっちに戻ってきてからは写真スタジオで働いたり、誰かのアシスタントについたりすることはせずに、自分自身で作品撮りをして、その撮った写真を売り込んで仕事をもらって・・・っていう感じでこれまでやってきました。

ー では、今も雑誌などで撮影されているんですか?

はい。今も。

ー それをしながら、家族写真も撮られている。

これまでは雑誌の撮影の仕事が中心だったんですが、1年前、『家族写真』っていうテーマがぱっと頭に浮かんだんです。で、いろいろ調べてみると、家族写真の撮影料金って高い! と感じて、出来るだけ安い撮影料金でやりたいなと。そこで、普段はフィルムでも撮影をするんですが、この家族写真の撮影に関しては、すべてデジカメで撮ることにしました。感材費(フィルム代等)がかからないので、料金を安く抑えられるんです。

大野秀典さん写真2

で、さらに僕の場合はたくさんの量の写真をあげるんです。だいたい1時間の撮影時間で600~700カットくらい撮って、その中から多くて200枚くらいセレクトをして、DVDに焼いてお渡しする。その量の多さも結構好評で、喜んでもらっています。

家族のいまを残すということ

ー そもそも、なぜ家族写真が頭に浮かんだんでしょう?

僕が写真に興味を持ったのは一冊の写真集との出会いで、それは写真家ハービー・山口さんの撮影による福山雅治さんの全国ライブツアーを追ったものでした。出会った頃の僕は大学生で、将来自分は何がしたいのかを探している時期でもあり、その出会いはかなり衝撃的で。写真のもつ力ってすごいなって、初めて写真という表現に感動したんです。だから、もともとドキュメンタリー写真に惹かれて入ったんですよね。それで、友人が妊娠をしているときから、産まれたらその子の成長をライフワークとして、撮って残してあげようって。あと、2年前に子ども服のカタログの撮影をやったりしてて。だから、以前から自分のなかに家族写真を撮り始めるきっかけはあったんだと思います。

ー 子供って、残しておきたい対象としては、とてもシンプルですもんね。

そうですね。残してあげたいっていう思いがあるんです。いま撮って、いまかわいいっていうだけではなく、その子がもっともっと大きくなったときに見て欲しい。
そういう気持ちで撮っています。

大野秀典さん写真4
photo by Hidenori Ohno

ー 家族ってある意味、閉じたコミュニティですよね。そこに突然入って、いい写真を撮る難しさってあるのでは?

確かにそれはありますね。でも、この家族写真の撮影を始めて、一年経ったいま、これからも続けていけるって思えるのは、実際に手応えがあるからなんですよね。たった1時間程度ではありますが、ファミリーのみなさんが構えることなく、撮影にもっていけてるんで。赤ちゃんが泣きだすと今でも大変ですけど(笑)。

ー 実際にどんな方が撮影を依頼されるんですか?

お誕生日会が一番多くて、あとは年賀状やクリスマスカード等の行事撮影です。一番僕が撮りたいと思っているような、日常を撮ってくださいっていうことには、まだまだならないですね。あと、最近は口コミも増えてきて、半年前に撮影したファミリーの紹介で、そのお友達ファミリーが頼んできてくださったり。

ー いままで何組くらい?

始めて1年ですが、30ファミリーくらい撮影しました。

大野秀典さん写真5
photo by Hidenori Ohno

ー 大野さんがもともと主にされていた雑誌や広告の仕事って、いま現在どう見えるか、どう伝わるか、というのが一番だと思うのですが、そこから10年、20年先に残るものへと意識が向かったのはなぜですか?

僕にとってはもともと雑誌も同じ感覚なんですよね。例えば、以前に撮った役者さんやミュージシャンのポートレート写真を改めて、いま見てみると、その人もそして僕自身も変化をしていて、決していまは残せない写真なんです。写真って、結局は記録として残していくメディアなんですよね。10年間撮り続けて、そうやって残し続けてきたことで気がついたことかもしれません。

アルバムボックスとの出会い

ー ただ、残すっていう観点からすると、データで置いておくのは不安な面もありますよね。

そう。だから、最近はお気に入りの写真を選んでもらって、その写真を額装までしてお渡しするサービスを始めたんです。あと、この前、富士フィルムの方とお会いしたときに、写真をそのままドサっと収められるアルバムボックスっていうものを見せていただて、そのとき、僕のやっていることの完成形はここにある! って、
まさに『これだ!』って、腹に落ちました。

大野秀典さん写真6

DVDをお渡しして、楽しんでもらってはいるのですが、パソコンのなかで終わってしまうのはあまりにももったいないですよね。しかも、未来で楽しんで欲しいと思って撮っていても、ハードディスクが壊れたりして、そのとき撮ったものが残っていないっていうことだってありえる。それが、撮ったものをプリントしてアルバムボックスに収めてお渡しすれば、ちゃんと形として残しておけるじゃないですか。

ー たくさんの写真を渡したいと思う大野さんにはぴったりですよね。

はい。やっぱり、僕は『たくさんあって嬉しい』っていう相手側の意見に合わせたサービスを提供したいので、同じシチュエーションでの撮影でも、いろんな表情の写真を入れてあげるんですよ。例えば、僕としてはお子さんの少しクールな感じの表情のもいいなって思ったりするんですけど、その子の親御さんからしたら笑顔のものがいい! ってなるんですよね。なので、そうやってまた違った表情のを加えていくと結構な枚数になってくるんです。

大野秀典さん写真7

ー そうですね。10年後に改めてみたら、親御さんもお子さんの笑ってない顔がいいって思うことにもなるかもしれない。そのためにはやっぱりプリントしておきたいですよね。データでもらって、親御さんがその時かわいいと思ったカットしかプリントしなかったとしたら気づけないですもんね。

そうなんですよね。それに、印画紙もマット紙(一般的によく使用される光沢紙とは異なる、さらっとした絹目調の印画紙)を使ってプリントしているので、指紋を気にしないで、カード感覚で家族みんなでワイワイ気軽に見て楽しんでもらえると思うんです。そして、このアルバムボックスは持ち運びが便利なアルバムなので、相性が抜群なんです! このアルバムと出会えたことで、僕の中の家族写真への想いがよりいっそう強くなりました。

大野秀典(おおのひでのり)
1975年生まれ。大学卒業後、1999年にサンフランシスコに渡米し、イタリア人の写真家Stefano Massei氏に師事。2001年に帰国し、写真家として活動を開始。2010年からリトルミスサンシャイン名義で出張スタイルの家族写真の撮影活動を開始する。
http://www.hidenoriohno.com/

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