風景写真の撮影テクニック
風景写真と言っても、たくさんのシーンがありますね。代表的なものだけでも、春は桜、夏は青い空と海、秋は紅葉、冬は雪景色でしょうか。
日本には、同じ場所でも様々な顔を見せてくれる四季が存在するため、季節に応じて撮影意欲をかきたててくれます。
この撮影ガイドでは、風景写真のテクニックやデジタルカメラの設定、便利なアクセサリーなどを紹介いたします。
ぜひ、美しい自然を写真に収めてください。
構図(フレーミング)/カメラアングルを考えましょう
まずは、構図(フレーミング)を考えましょう。風景写真で一番大きな要素は構図と言っても過言ではないと思います。
構図には、いくつかありますが、代表的な例を紹介いたします。風景の種類によっても異なりますので、効果的な構図を使用してください。
1. 三分割法 : 人間が美しいと感じる配置・分割法
画面の縦横を3つに分割して、「1:2」の比率で被写体を配置する構図です。デジタルカメラのフレーミングガイド(格子線表示)機能を使用するとイメージしやすく、おすすめです。別名「黄金比構図(*)」とも呼ばれる配置・分割法です。
*正確には、「1:1.62」比率の配置を黄金比と言いますが、写真の場合「1:2」が一般的です。
フレーミングガイドの表示方法は、以下Q&Aをご参照ください。
2. 三角構図 : 安定感や高さ・奥行きを表現
安定感や高さ・奥行きの表現に有効な構図です。例えば、高い木など三角形に配置して高さを表現することや、まっすぐに伸びる道などをこの形にすると奥行きが感じられます。
次の「対角線構図」にも似ていますが、三角形を横に配置してみても面白い効果があります。
3. 対角線構図 : 躍動感の表現や視線の誘導
対角線構図とは、並木や道路・木の枝など、直線的に伸びる被写体を対角線方向に配置する技法です。視線の誘導や、躍動感などの効果が期待できます。
水の流れなど、動きのある被写体の場合は、あえて構図を斜めにして上から下へ流れるように、角度を付けて配置すると迫力が出ます。
4. 額縁効果(フレーム効果) : 日本庭園にある建物の窓と同様の効果
被写体の周りに木の枝や建造物を写し込み、あたかも額縁に入れたように切り取って見せる技法です。見せたい被写体に注目させる効果があります。自然の物だけではなく、部屋の窓からの風景を撮影するのも良いのではないでしょうか。
特に日本庭園などは最初から額縁効果を狙って作られている場合もあるようです。
完全にシルエットにするだけではなく、空白部分に木の枝などを入れるだけでも額縁効果を出す事ができます。
5. シンメトリー構図 : 古来から好まれてきた左右または上下対称の構図
左右対称な被写体の撮影に使われる技法です。例えば、左右対称な建物や二等辺三角形の「○○富士」と呼ばれる山などを撮影する際に有効です。また、穏やかな水面などの反射を利用した上下対称の構図も面白いのではないでしょうか。この水面反射を使用する構図はなんと言っても「逆さ富士」が有名ですね。
さらに、縦位置撮影/横位置撮影でも印象が変化しますのでいろいろお試しください。
次にカメラアングルです。写真を撮る場合、人間の目の高さにカメラを構えて写真を撮っていませんか?
カメラの高さや向きを少し変えるだけでも、また違った印象の写真になりますので、お試しください。
6. ローアングル撮影/俯瞰(ふかん)撮影
ローアングル撮影は、地面に近い位置から上を仰ぎ見るように撮影します。空が大きく入り、大胆な写真になります。
また、俯瞰撮影は少し高いところに上って、見下ろすような写真です。地面を大きく入れてみましょう。
ワンポイント①:風景写真は水平が基本です
わざと斜めにする技法もありますが、風景写真では中途半端に斜めになってしまうと、あまり良いものではありません。
最近のデジタルカメラには、ファインダーや液晶モニターに電子水準器を表示する事ができるものが多くあります。
特に、下の写真のように被写体の右と左で高さが違う場合など、形に惑わされてしまうことが良くありますので、風景写真を撮影される場合は、この電子水準器を活用すると水平を取りやすく、便利です。
電子水準器の表示方法は、以下Q&Aをご参照ください。
ワンポイント②:被写体の重なりに気をつけましょう
画面内に写りこむものの重なりにも注意しましょう。カメラの位置を上下左右に少しずらすだけで、大きく印象の異なる写真になります。撮影の前に、作品の主となる対象物だけでなく周辺もよく観察して、ベストなカメラアングルを探してみましょう。
絞りを絞ってピントを全体に合わせましょう
花畑や草原など、手前から奥までピントを合わせたいと思われることも多いでしょう。この場合は、絞りを絞って、被写界深度(ピントの合う範囲)を拡げてみてください。
特に広角レンズを使用すると被写界深度が広くなり、背景までピントが合いやすくなりますのでおすすめです。
- 広角レンズ使用の場合、目安としてF8.0程度に絞ってください。
手前~奥までピントの合った写真を撮る事ができます。 - 標準・望遠レンズを使用する場合や、背景までピントが合わない際は、さらに絞ってください。
露出補正を効果的に使いましょう
次は露出です。最近のデジタルカメラには、分割測光(マルチパターン測光)が搭載されているため、通常は露出補正を行わなくても、ほとんど失敗はありません。しかしながら、明暗差が大きい場合や明るい空を大きく入れる場合は、プラス側に露出補正を試すと、よりよい結果になる事がありますので、試してみるのはいかがでしょうか。
ホワイトバランスで色を調整しましょう
XシリーズやHSシリーズデジタルカメラには、ホワイトバランス機能に色温度を調整する機能が搭載されています。
通常は、AUTOをご利用いただくことで環境に合わせて自動設定されますが、あえて色温度設定を変更すると、夕日の色を強調することや、逆に朝の印象にするなど、面白い効果があります。
おすすめのカメラは?
絞りをコントロールして被写界深度(ピントの合う範囲)を調整するため、絞り優先オートを搭載したデジタルカメラがおすすめです。
また、風景写真には必携のC-PLフィルターを取り付ける事が可能なカメラが良いでしょう。
該当する当社製デジタルカメラ
【APS-Cサイズ CMOS搭載デジタルカメラ】
【交換レンズ(単焦点) レンズ交換式デジタルカメラ用】
【交換レンズ(ズーム) レンズ交換式デジタルカメラ用 】
【テレコンバーター/マクロエクステンションチューブ】
製品の購入
- デジタルカメラ「FUJIFILM Xシリーズ」 (フジフイルムモール)
- フジノンレンズ「XF/XCシリーズ」 (フジフイルムモール)
おすすめのアクセサリー
C-PLフィルター (円偏光フィルター/サーキュラーPLフィルター)
C-PLフィルターは風景写真を撮る際に必携のアクセサリーです。
一般的に、水面やガラス・金属の反射を除去する用途で使用される事が多いですが、風景写真に使用すると空の青や木々の緑などをくっきりと鮮やかにする事が可能です。
「C-PLフィルター」
この撮影ガイドで紹介したデジタルカメラの内、FUJIFILM XQ2・コンパクトデジタルカメラを除いてフィルター取り付けが可能です。下記フィルター径に併せてご用意ください。
※取り付けできないカメラはレンズ前にかざしてご利用ください。
<フィルター径>
- 39mm径 : XF27mmF2.8 R/XF60mmF2.4 R Macro
- 43mm経 : XF23mmF2 R WR /XF35mmF2 R WR
- 49mm径 : FUJIFILM X100T ※アダプターリングAR-X100併用/FUJIFILM X70 ※レンズフード LH-X70 併用
- 52mm径 : XF18mmF2 R/XF35mmF1.4R
- 58mm径 : XF14mmF2.8 R/XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS/
XC16-50mmF3.5-5.6 OIS/XC16-50mmF3.5-5.6 OIS II/
XC50-230mmF4.5-6.7 OIS/XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II - 62mm径 : XF23mmF1.4 R/XF56mmF1.2 R/XF56mmF1.2 R APD/
XF90mmF2 R LM WR/XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS - 67mm径 : XF16mmF1.4 R WR/XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR
- 72mm径 : XF10-24mmF4 R OIS/XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR
- 77mm径 : XF16-55mmF2.8 R LM WR/XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
三脚とリモートレリーズ・ケーブルレリーズ
夕景や夜景ならいざ知らず、昼間の撮影に三脚は不要と考えていませんか?もちろん、明るい屋外であれば、手ブレや被写体ブレは発生し難いですが、シャッターを押すショックでカメラが水平ではなくなってしまうことがあります。
また、絞り込んで被写界深度を深くしたり、C-PLフィルターを取り付けたりすると、思いのほかシャッタースピードが遅くなってしまう事がありますので、三脚とリモートレリーズ・ケーブルレリーズのご利用をおすすめします。
撮影した後は、オリジナルのフォトアルバムを作りませんか?
両面・銀写真仕上げのハードカバータイプなら、たくさんの画像を一冊にできて、高品位な写真集のようなフォトブックに。アルバム代わりに、本格的な写真集に、一生大切に残したい思い出をまとめるのに最適です。
また、フォトブックには、このほかにも簡易製本で持ち運びに便利な「ソフトカバー」、お手軽な「リングタイプ」、長年撮りためたフィルムやデジタルカメラから高品位なフォトブックを作成できる「プレミア作品集」(店頭受付限定)などもございます。
詳しくは、お近くのフォトブックサービス店にお問い合わせください。
※お店により取扱サービスが異なるため、必ず事前にご確認下さい。
おまけ① : 撮影シーン別ガイド
おまけ② : 季節を取り入れてみましょう
風景を撮影する際に、画面に撮影した季節がわかる要素を取り入れてみましょう。分かりやすい例では春に桜、秋に紅葉など。画面全体に写し込んだり、ワンポイントとして利用するなど、表現方法はさまざまです。ぜひいろいろとチャレンジしてみてください。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。ぜひ、風景写真にチャレンジしてください。