星空の写真にチャレンジしてみませんか?
夜に、ふと空を見上げると満天の星空だったことはありませんか?数限りない星々が輝く夜空はロマンを感じさせてくれますね。気温が下がってくる秋から冬は、きれいに見えるものです。春・夏はまた違った星座が見えますし、暑い夏には避暑もかねて、涼しい高原で星空を撮影してみるのはいかがでしょうか?
天体写真には、星の動きを追尾する赤道儀や天体望遠鏡を使用して撮影する方法もありますが、この撮影ガイドでは、特別な機材を使用せず、デジタルカメラのみで風景と星を一緒に撮影したり、天空の星を撮影したりする際のテクニックや注意点をご案内いたします。
星空の撮影に出かける前に
星空を撮影する場合の注意点はいろいろありますが、まずは撮影前の準備で防げる内容について紹介します。アクセサリーの準備やちょっとしたことですが、星空の撮影には重要なことですのでぜひ参考にしてください。
撮影場所を選びましょう
星空は肉眼で見て感じるよりも弱い光です。周囲に街灯がある場合、また車のヘッドランプの光が届く場所などでは、フレーム内に入っていなくても、下図のように明るい部分が発生したり、コントラストが弱くなったり、星がはっきりと写りに難くなってしまうことがあります。このため、できるだけこれらが無い場所を選びましょう。
さらに、レンズフードを取り付けると防げる場合があります。できるだけ不要な光をカットしてください。
カメラを地上(地平)に向けるほど、街明かりに影響されます。近くに街がある場合はご注意ください。また、星空の撮影では月からの明かりも影響がありますので、月の明かりがない新月の日がベストタイミングです。
三脚は必須です
星空を撮る場合は、長時間露光が必要です。カメラを固定するためにしっかりとした三脚をご用意ください。また、シャッターボタンを押した際のショックでカメラがぶれてしまうことを抑えるため、ケーブルレリーズやリモートレリーズを併用していただくとさらに良いでしょう。なお、ケーブルレリーズやリモートレリーズをお持ちでない際には、セルフタイマーの2秒を使用すると、シャッターボタンを押した際のブレを防ぐことが可能です。
※注意※
三脚に固定して撮影する際は、手ブレ補正機能(OIS)をOFFにしてください。微細な振動などで補正機能が不用意に働き、ぶれてしまうことや、フレーミング調整が困難となる場合があります。
予備バッテリーを準備しましょう
長時間露光を繰り返すと、思いのほか早く電池が消耗します。予備バッテリー(充電池の場合は充電済)をご用意ください。また、特に寒い冬に撮影される場合は、温度低下で電池の消耗が早くなりますので、使用直前までポケット(※)などで暖めておくと良いでしょう。
※ポケットに入れる際、小銭など電気を通すものと一緒に入れると危険ですので、十分ご注意ください。
撮影前にはレンズ清掃をしっかりとしましょう
レンズが汚れていると、せっかくの星がぼやけて写ってしまいます。撮影前に、レンズが汚れていないか確認してください。なお、汚れが取れない際はレンズクリーニングリキッド(クリーニング液)やレンズクリーニングペーパーをご利用ください。
飛行機などに注意しましょう。
日本の空には、多くの飛行機が飛んでいます。飛行機はランプを点滅させながら飛んでいますので、長時間露光をすると下図のように点線状に写ってしまいます。空をよく見るとわかりますので、フレームから出るのを待ちましょう。
ちなみに、点滅していない場合は、流れ星や国際宇宙ステーション・人工衛星などの場合があります。
カメラの設定は?
露出モードは「マニュアル露出」がおすすめです。
夜空の星は非常に弱い光です。オート露出では、うまく撮れない場合がありますので、「マニュアル露出」がおすすめ。露出の目安は、ISO感度3200程度、シャッタースピード(S.S.)は15秒~30秒程度、絞りはF4.0程度(※)です。
なお、カメラの角度や撮影環境・撮影時刻により数値が変化するため、本番前にテスト撮影をして微調整してください。
※レンズは、開放から1~2段絞ると解像力が高くなる特性があります。開放から少し絞っていただくと良いでしょう。
ピント合わせは「マニュアルフォーカス」を使いましょう。
星は暗く、しかも小さいため、オートフォーカスではピントを合わせにくい被写体です。マニュアルフォーカスを使用してピントを合わせてください。なお、液晶モニターやファインダーでピントを合わせにくい場合は、距離指標(※)を参考にして無限遠にピントを合わせてください。また、画像の拡大機能が搭載されていれば、こちらも活用してください。
※距離指標はピント合わせの補助機能です。テスト撮影した画像を再生し、ピントが合っていない場合はピントを前後に動かして微調整してください。また、レンズ側に距離指標があるものもありますので、併せてご利用ください。
シャープネス(輪郭補正)は高めの「ミディアムハード(M-HARD)」や「ハード(HARD)」に設定しましょう。
シャープネスとは、輪郭を強調したり、柔らかくしたりする設定です。星空の場合は、輪郭がくっきりとしているほうがきれいに見えます。シャープネスの設定を「ミディアムハード」や「ハード」に設定していただくと良いでしょう。
ホワイトバランスの設定で色味をコントロールしましょう。
AUTOホワイトバランスでご希望の色味にならない場合は、お好みに応じて、やや青味を付けたい場合は、「色温度設定」で低め(4000K前後)に設定、色温度設定が搭載されていない機種は、「蛍光灯3(白色蛍光灯)」をご利用ください。逆に、赤味を付けたい場合は、「晴れ」「曇り」「日陰」などの設定などもおすすめです
なお、画質モード「RAW」をご利用いただくと、撮影後にカメラやパソコンでホワイトバランスを調整することが可能です。
※RAWで撮影したファイルは画像になる前の段階です。撮影したカメラで設定を変更しJPEG画像に現像(変換)することが可能です。また、パソコンのRAW現像ソフトでも現像が可能です。
望遠を使う場合はシャッタースピードを短めにしましょう。
この撮影ガイドでは赤道儀など本格的な機材を使用しない撮影方法をご案内しています。露出数値の項目で15秒~30秒がおすすめと記載しておりますが、星は動いているため、長時間露光をすると星が線のように写ってしまうことがあります。
この現象は、焦点距離が長くなるほど顕著になりますので、標準から望遠レンズを使用する場合は、少しISO感度を高めに設定してやや短めのシャッタースピードを利用すると良いでしょう。
長秒時ノイズ低減機能のON/OFFについて
長秒時ノイズ低減とは、レンズ交換式カメラなどに搭載されている、長時間露光時に発生する点状のノイズを軽減する処理です。撮影画像を確認してノイズが多いと感じられる場合は、設定をONにしてください。また、ON/OFFの撮影画像を比較して差が無い場合は撮影可能間隔が短くなるためOFFの設定がおすすめです。なお、長秒時ノイズ低減をONにすると、撮影後にノイズ低減処理を行います。露光時間分の処理(※)を行うため、撮影可能間隔が大きくなりますのでご注意ください。
※例えば、30秒間の露光を行った後、30秒間のノイズ低減処理(処理中表示)が始まります。処理終了まで次の撮影はできません。
星を線のように写すには?
雑誌やインターネットで星が線状に写っている写真をご覧になったことはありませんか?星は北極星を中心に円を描くように動いています。カメラを三脚などにしっかりと固定して、数分から数十分、さらには数時間シャッターを開いたままにして撮影すると、星の動きが線のように写ります。ただし、風景と一緒に撮影する場合、風景部分が明るくなりすぎることを避けるため、低感度で撮影したり、月明かりや街明かりの明るさに応じて絞りを閉じたりする必要があります。このため、等級の低い暗い星は写りにくい傾向があります。
また、デジタルカメラの場合、長時間シャッターを開いているとノイズが多く現れてしまうことがあるため、数十秒程度の写真を連続で撮影して合成する手法もあります。例えば、30秒露光の写真を60枚合成する(※)と約30分開いたままにした状態と同じような画像を作ることができます。なお、この場合、感度を上げて撮影できるため、暗い星も写すことが可能です。
※コンポジットソフトウエアと呼ばれるパソコンソフトを使用して合成します。インターネットの検索エンジンで、「比較明合成ソフトウエア」と検索すると、たくさんのソフトウエアがヒットします。お好みや機能を比較してご用意ください。
※連続撮影が必要ですので、前項で紹介したカメラの「長秒時ノイズ軽減機能」はOFFにしてください。また、カメラの連写機能を使用して、レリーズ/リモートレリーズでシャッターボタンを押したままの状態にして希望の時間分撮影してください。
おすすめのカメラ/レンズは?
星空を撮影する場合、高感度設定をしても30秒間など長時間露光が可能なカメラ。さらに、高感度ノイズや長時間露光ノイズの発生を抑えるためAPS-Cサイズなど、大きな撮像素子(CMOS)を搭載したカメラがよいでしょう。
レンズはズームレンズでも問題はありませんが、画像の周辺部までより高い解像度を求める際は、単焦点レンズに優位性があります。また、レンズの性能を最大限に生かすため、保護用のフィルターを外すか、付ける場合は透過率の高いフィルター(※)のご利用がおすすめです。
※当社製プロテクトフィルターはスーパーEBCコーティングを施し、非常に高い透過率を実現しています。Xマウントレンズの性能を損なうことなく、レンズを保護することが可能です。
該当する当社製デジタルカメラ
【APS-Cサイズ CMOS搭載デジタルカメラ】
【交換レンズ(単焦点) レンズ交換式デジタルカメラ用】
【交換レンズ(ズーム) レンズ交換式デジタルカメラ用 】
【テレコンバーター/マクロエクステンションチューブ】
製品の購入
- デジタルカメラ「FUJIFILM Xシリーズ」 (フジフイルムモール)
- フジノンレンズ「XF/XCシリーズ」 (フジフイルムモール)
撮影した後は、美しくプリントしませんか?
【光の反射率が高いクリスタルペーパーで鏡に映したような仕上がり】
印画紙に光の反射率が高いクリスタルペーパーを使用。凹凸を抑え、平滑性を高めた紙表面が、光を一定方向に反射。
まるで鏡に映したような光沢感が楽しめます。
【手軽に高品質プリントが楽しめる】
デジカメプリント クリスタルは、仕上がり色調を自動で補正。
お店に行って色調整する時間がない方や初心者の方でも、手軽に高品質のプリントが楽しめます。
おまけ① : 暖かいところからリモート撮影はいかがでしょうか?
夜間に屋外で撮影していると、寒くてこごえてしまうことがありますね。特に冬の時期は大変です。画像を確認しながらスマートフォンやタブレット端末からシャッターを切ることができる「FUJIFILM CAMERA REMOTE」に対応している機種は、見通し距離で約10mはなれて撮影が可能ですので、カメラの設定を済ませたら、温かい車の中などからリモート撮影するのもよいかもしれませんね。
【FUJIFILM CAMERA REMOTEから可能な操作】
- シャッタースピード設定変更
- 絞り設定変更
- AF駆動 (AF時に画面をタッチしてお好みの場所に合わせることが可能)
- ISO感度変更
- フィルムシミュレーション設定
- ホワイトバランス設定
- マクロ ON/OFF
- フラッシュモード変更 (フラッシュをポップアップしておく必要があります)
- セルフタイマー(OFF/2秒/10秒)
☆ご注意ください☆
露出モード、マニュアルフォーカス時のピント合わせ、測光方式などは接続前に予め設定しておく必要があります。(リモートコントロールできません)
【FUJIFILM CAMERA REMOTE 動作環境】
Android OS : Ver.4.0以降 または iOS : Ver.8.0以降おまけ② : ソフトフィルターを使うと星を大きく撮影できます
ソフトフィルターを使用して、星をあえてぼかしたり、滲ませたりすると星が大きく写ります。特に明るい星に効果がありますので試してみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました。ぜひ、美しい星空の撮影にチャレンジしてください。