広角レンズを活用しましょう!
広角レンズとは人間の目で感じるよりも広い範囲を撮影することができるレンズのことで、一般的に35mmフィルム換算で35mm以下の焦点距離のレンズを指します。広角レンズの代表的な特徴には以下3つがあります。
① 広い範囲が写る(画角が広い)
望遠レンズや標準レンズに比べて、より広い範囲を撮影することができます。
② 遠近感を強調することができる(手前が大きく、奥が小さく写る)
手前のリンゴの大きさが同じくらいになるように撮影。リンゴ間の距離は変更していません。
③ ピントの合う範囲が広い(手前から奥までピントを合わせやすい)
下の画像は同じ距離から35mmレンズと16mmレンズを使用し、絞りF1.4で撮影した画像を同じ範囲となるように切り取ったものです。35mmレンズ(標準レンズ)に比べて16mmレンズ(広角レンズ)の方がピントが合っている範囲が広いことが分かると思います。
これらの特徴は状況によってメリットでもあり、デメリットでもあります。このガイドではそれぞれの特徴について、作例写真(一部イメージ写真)とともに解説いたします。
広い範囲が写る(画角が広い)
広角レンズの特徴としてまず挙げられることは、広い範囲が写るということです。海や空・草原など広大な風景を写す場合や、室内などで被写体までの距離が取れず広く写すことができない場合、被写体の大きさはそのままに背景を広く写したい場合など、この特徴を生かした撮影をしてみましょう。
撮影範囲のイメージ(同じ位置から撮影)
同じ場所から撮影した際、焦点距離が短いほど広い範囲を撮影することができます。遠ざかることができず、被写体が切れてしまうような場合、広角レンズを使うことをおすすめします。
被写体を同じ大きさで撮影した背景の違い
メインの被写体はそのままに、背景の広さを変えることが可能です。メインの被写体の大きさは被写体までの撮影距離で調整します。焦点距離が短くなればなるほど背景が広く写るようになるため、旅行の記念撮影など、人物のほかに風景や建造物を写したい場合などに便利です。
室内など距離が取れない場合でも広く
画像の四隅に注意
広い範囲が写ることがメリットである反面、余計なものが写り込んでしまうことが多いデメリットがあります。撮影時には気付かなかったものが、再生してみると写り込んでいたなど、皆さんも経験があるのではないでしょうか。 ファインダーや液晶モニターで撮影範囲の周囲を良く確認して、撮影していただくことをおすすめします。周囲に余計なものが写っている場合は、少し距離を詰めたり、フレーミングを変えたりすると良いでしょう。
遠近感を強調することができる(手前が大きく、奥が小さく写る)
何といっても、広角レンズの大きな特徴は、近い被写体が大きく、遠くの被写体は小さく写ることです。この特徴を利用して、いつもとは違う雰囲気の写真を撮影しましょう。
パースを付ける
ピントの合う範囲が広い(手前から奥までピントを合わせやすい)
広角レンズは、標準レンズや望遠レンズよりもピントの合う範囲が広い(被写界深度が深い)特徴があります。この特性を利用して、手前から奥までピントの合った写真を撮ってみましょう。
この際、絞りを絞って(数値を大きくして)撮影すると、よりピントの合う範囲が広くなりますのでおすすめです。
ワンポイント「パンフォーカス」撮影
手前から奥までピントを合わせるテクニックとして「パンフォーカス」と呼ばれる技法があります。
パンフォーカスは、一番奥の被写体にピントを合わせるのではなく、カメラから数メートルの場所にピントを合わせ、絞りを絞って撮影します。
目安として、焦点距離28mm(35mmフィルム換算)より広角のレンズを使用し、ピントを合わせる位置は3m~5m程度の位置、絞りはF8.0~F11程度に絞ると、カメラの数メートル先から無限遠まで(*1)ピントが合います。
*1 L判から2L判の大きさにプリント・画面表示した際ピントがあっているように見えます。引き延ばす大きさや表示する大きさにより、ピントが合っているように見えない場合があります。
該当する当社製レンズ
製品の購入
- デジタルカメラ「FUJIFILM Xシリーズ」 (フジフイルムモール)
- フジノンレンズ「XF/XCシリーズ」 (フジフイルムモール)
主な広角レンズの仕様
レンズ | 35mmフィルム換算 | 最短撮影距離 | 質量(*2) | 最大径×長さ(*2) |
---|---|---|---|---|
XF14mm F2.8 R | 21mm相当 | 18cm | 235g | 65.0mm×58.4mm |
XF16mm F1.4 R WR | 24mm相当 | 15cm | 375g | 73.4mm×73.0mm |
XF18mm F2 R | 27mm相当 | 18cm | 116g | 64.5mm×33.7mm |
XF23mm F1.4 R | 35mm相当 | 28cm | 300g | 72.0mm×63.0mm |
XF23mm F2 R WR | 35mm相当 | 22cm | 180g | 60.0mm×51.9mm |
XF8-16mmF2.8 | 12-24mm相当 | 25cm | 805g | 88mm×121.5mm |
XF10-24mm F4 R OIS | 15-36mm相当 | 24cm | 410g | 78.0mm×87.0mm |
XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ | 23-69mm相当 | 13cm | 135g | 62.6mm×44.2mm |
*2 キャップ/フードを含まず
おまけ : 広角レンズで近接撮影
Xマウント広角単焦点レンズには、最短撮影距離が短いものがラインアップされています。特に「XF16mm F1.4 R WR」 の最短撮影距離は15cmと非常に短くなっています。なお、この数値は撮影用センサー(CMOS)から被写体までの距離となるため、レンズの先端から5~6cmの距離で撮影ができます。
例えば、料理店でインスタ映えする料理が出てきた場合、標準レンズではレンズ自体の最短撮影距離が長い場合や料理全体を撮影する際、距離をとる必要があるため、席から立ち上がらなくてはならないですが、最短撮影距離の短い広角レンズを使用すると席に座ったままでも撮影することができます。
また、手前のものが大きく写る特性と背景が広く写る特性を生かして、料理と店内の雰囲気を一緒に写すことなども可能です。
最後までご覧いただきありがとうございました。広角レンズをぜひご活用ください。